2026年7月28日、渋谷。
私たちが取り組んでいる「豈(やまと)プロジェクト」の公演でした。
宮地にとっては、29回目の公演。
渋谷での公演は、4回目です。
公演を終えたあと、宮地が、こんな話を聞かせてくれました。
まず、宮地はこう切り出しました。
「僕たちはプロではないので、技術の上手さで何かを伝えるっていうことは、なかなか難しいんですよね」
プロの和太鼓奏者ではありません。
音を極めた職人ではありません。
技術の上手さで、勝負しているのではない。
では、何を届けているのか。
宮地は、続けます。
「日々学んでることとか、ヒーローズ全体でやってきたこと、思いを合わせてやっていく。
そこに対して命を燃やしていく。そういうところに、感動してくださることが多いんです」
公演後、たくさんのメッセージが届きました。
「感動して涙を流しました」
「思いが伝わってきました」
「また来年も観たいです」
普段の営業活動だけでは、伝わらないもの。
和太鼓の音、振動。
そういうものを通じて、何かが伝わっていた。
その日、宮地の娘さん(8歳)も、公演を観に来てくれていました。
帰ってから、娘さんが、こう言ったそうです。
「早く大人になりたい」
その一言に、宮地は、はっとしたと言います。
「実は自分が学生だった頃、就活したくなかったんです。大人になるって、なんだか牢屋に入るような感じがして」
言われたことをやるだけ。生活のために働く。
何のために働くのか、決まっていない。
そんな大人の姿を、当時の宮地は見ていました。
でも、自分の娘は違いました。
「大人たちがめっちゃ楽しくやってる。涙あり、笑いあり。本気でやっている。その姿を見て、早く大人になりたいって言ってくれた」
そう言って、宮地は、少しはにかんだような表情を浮かべました。
公演を通じて、新しい仲間も増えてきました。
一緒にやっていこう、という企業さん。
一緒に、健康のためにお米を買いましょうという、社長さん。
太鼓を叩くわけではありません。
でも、一緒に何かを始めたい、という気持ちが繋がっていく。
そういう繋がりが、少しずつ、少しずつ、増えている。
宮地は、最後に、こう締めくくりました。
「本当に地道な積み重ねが、自分の地域を良くしていく、会社を良くしていく。それに繋がっていくんだなってことを、すごく体験させていただきました」
派手なことは、ありません。
華やかな瞬間の裏で、私たちがやっているのは、地道な積み重ねだけです。
練習を重ねる。
思いを合わせる。
命を燃やす。
そして、また練習する。
その繰り返しが、いつか、誰かの心に届く。
「早く大人になりたい」
娘さんの言葉を、私たちも、大切にしたいと思いました。
大人が、本気で楽しんでいる姿を見せる。
大人が、命を燃やして何かに取り組んでいる姿を見せる。
それが、次の世代への、一番の贈り物なのかもしれません。
早く大人になりたいと、誰かが思ってくれる、その一瞬のために。
執筆:山崎文栄堂 宮地宏彰 / 編集:角川英治(株式会社フブキ)