2026年5月12日。
その日のミーティングは、いつもと少し違っていました。
対話の途中、社長がふと、こう言いました。
「新しい情報統合っていうのが、次の山崎文栄堂の100年だなぁ」
その言葉が、ミーティングの空気を、変えました。
情報統合ファイリング。
社長の造語です。
検索しても、どこにもヒットしない言葉。
けれど、その日、社長の中では、すでに次の100年の輪郭ができていたのだと思います。
2025年10月のアスクルのランサムウェア感染。
あの一件は、私たち山崎文栄堂にとって、本業に大きな影響を及ぼす出来事でした。
同時に、社長にとっては、何かを目覚めさせる出来事でもありました。
「情報が、自分たちのものじゃなくなった時代なんですよ、今は」
紙で管理していた時代は、鍵付きのキャビネットに、書類を保管していました。
電子化された時代も、まだ自社サーバーに、データがありました。
けれど、クラウドの時代になって、情報は、世界中のどこかに置かれるようになった。
便利になった、その裏側で、
情報の主権が、少しずつ、自分たちから遠ざかっていた。
それを、ランサムウェアが、教えてくれた。
社長の頭の中には、こんな図がありました。
紙のファイリング。
電子のファイリング。
クラウドのファイリング。
そして、AIのファイリング。
この4つは、断絶しているのではなく、地続きなのだと、社長は言います。
「紙の整理ができない会社が、AIを使っても、ぐちゃぐちゃのままなんですよ」
紙→電子→クラウド→AI。
この順番で、整えていく。
いきなりAIを導入するのではなく、まず紙が整い、次に電子が整い、クラウドが整い、その先にAIがある。
これが、社長が構想する「情報統合ファイリング」の、骨格でした。
この話をしていた時、社長が、ふと打ち明けたことがありました。
「実は、filing.co.jp っていうドメイン、20年前から持ってるんですよ」
櫻井も、宮地も、角川さんも、驚きました。
20年前。
まだ、クラウドという言葉が一般的でなかった時代。
まだ、AIが今のような形で語られていなかった時代。
その頃から、社長は、
「情報を整える」ということが、この会社の未来の中心にあると、直感していたのかもしれません。
5月18日のミーティングで、社長は、こんなふうに話してくれました。
「整えるって、ファイリングだけじゃないんですよ。人・もの・お金・時間・情報・経営資源・心・体、全部です」
この言葉を聞いた時、私たちの中で、何かが繋がりました。
私たちが30年やってきた「整える」という仕事は、
書類を整えていたようで、本当は、それだけではなかった。
お客様の会社の、時間の使い方を整えていた。
社員の心の在り方を整えていた。
お金の流れを整えていた。
「整える」という一つの動詞が、こんなにも広い意味を持っていたことに、
私たち自身が、改めて気づいた瞬間でした。
情報統合ファイリング。
この言葉が、社長の口から出たあの日から、
山崎文栄堂の次の100年は、静かに、動き始めていました。
そしてこの構想を、どう社会に伝えていくか。
私たちのメディアが、どう役に立てるか。
それが、櫻井と、宮地と、角川さんの、次のテーマになっていきました。
執筆:山崎文栄堂 櫻井友子・宮地宏彰 / 編集:角川英治(株式会社フブキ)